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労働法の基礎知識 経営者のための労働法弁護士

はじめに

人事・労務問題はトラブルが発生する前の体制整備が重要

 サービス残業や名ばかり管理職問題等、人事・労務のトラブルが数多く発生しているということは知識として知っているが、特に何の対策もとっていないという企業は多くあります。その背景には、「今まであまりトラブルもなかったので当社は大丈夫だろう」とか、「万一トラブルが発生すれば、その時に対処すれば何とかなるだろう」という楽観的な認識があると思います。しかし、そのような認識は甘きに過ぎるといわざるを得ません。理由は2点あります。

 最初に留意すべきは時代の変化です。終身雇用制度という土壌の中での労使協調路線は時代とともに崩れつつあり、他方でインターネットや報道の影響で従業員の権利意識は年々高まっているというのが現代社会の特徴です。旧来に比して人事・労務のトラブルは極めて顕在化しやすい状況にあり、実際在職中の従業員が自分の勤務先である企業に対して巨額のサービス残業代を要求するということも日常茶飯事となっております。企業経営に携わる者としては、このような時代の変化を受け止め、人事・労務問題が大きな経営リスクになるという危機意識を持つことが必要です。

 次に留意すべきは、実際にトラブルが発生してからでは手遅れの事案が多いという現実です。今まで法的な見地から人事・労務の体制を整備して来なかった企業において実際に人事・労務のトラブルが発生した場合、何ら有効な対処方法が無く、企業側に不利な解決を強いられるということは多々あります。例えば、就業規則も作成していない企業であれば、そもそも従業員を懲戒解雇することができません。就業規則を作成していたとしても、その内容が不備であるとか、あるいは解雇に至る手順や証拠固めが甘いために、解雇無効とされるケースもあとを絶ちません。病気に例えて言うなれば、日頃から健康管理を行い、万一体の異常に気づいた段階で早めに病院に行けば対処の方法はありますが、重症化してからはじめて病院に行っても有効な処置方法が限られるのと同様です。日頃から、法的な見地から人事・労務の体制を整備し、守りを固めておくことが極めて重要なのです。

  • 労使協調が崩壊しつつあるという時代の変化があり、現在は人事・労務のトラブルが発生しやすい状況にある。
  • 現実にトラブルが発生してからでは手遅れの事案が多い。
  • 従って、日頃から、人事・労務の体制を整えて守りを固めておくことが重要。

人事・労務のトラブル防止のための体制整備の方法

 人事・労務問題は採用から退職まで多岐にわたり、それぞれの分野で法令・行政通達・裁判例等が複雑に錯綜しています。人事・労務の体制を整備したいが、どこからどのように手をつければ良いのかわからない、という企業も多いと思いますが、ポイントは以下の4点に集約されます。

 まずは、全体像を掴むという点が重要です。企業経営に携わる以上、人事・労務問題のあらゆる分野に関する法令等を理解して実践していく必要があるのですが、最初から完全な体制を整えることなどおよそ不可能です。また「木をみて森をみず」という言葉があるように、全体像を把握せずに細かな知識のみを追求することはあまり効率的とはいえません。まずは全体像を掴むというアプローチが重要です。

 全体像を掴んだ上で、次に重要なのが優先順位を把握するという点です。法令等を知識として有しているだけでは実務的には無力です。どういう時にどういうトラブルが発生しやすいかを知り、そのようなトラブルを避けるためには何をすれば良いのかを個々の企業の実情にあわせて考えていく、という逆算的思考が重要なのです。さらに言えば、トラブルにも濃淡があることも理解すべきでしょう。指摘を受けた段階で微修正すれば足る程度の「軽度のトラブル」もあれば、企業存亡にかかわる「致命的なトラブル」もあります。まずは致命的なトラブルが生じやすい点から優先的に体制を整えていくべきは当然です。

 トラブルと言ってもいろいろな種類があることを理解することも重要です。労基署等による行政指導さえクリアすれば安心という企業が多いのですが、実際には従業員が弁護士や労働組合を通じて各種要求をしてきたり、訴訟・労働審判が提起されることもありますので、それら全てを念頭において対策を講じる必要があります。特に訴訟等司法の世界では行政通達は意味を持たないことが多いですし、立証責任等訴訟法的な知識や証拠法の知識或いは裁判実務のノウハウが重要となります。労基署等行政のみを念頭においた予防策では不十分であることを理解しなければなりません。大は小を兼ねるという言葉があるとおり、訴訟等提起されても耐えるような体制整備をしておれば、全てのトラブルに対処することが可能となります。

 最後に、これで万全という方策は存在しないということは念頭においておくべきです。例えば、人事・労務の世界では、「解雇権の濫用」「合理的」「実質的な支配従属関係」等の概念が数多く登場しますが、結局それらは種々事情の総合判断であって、「こうすれば100%安全」という形式的で明確な基準など存在しません。これは、病気を予防するためのポイントは多数あっても「これをすれば絶対病気にならない」という画一的基準が存在しないのと同じです。しかし、病気になりにくくすることは可能です。病気を予防するためのポイントを明確に認識した上で、自分が取り入れることのできる事をできるだけ数多く実行すれば病気になりにくくなります。人事・労務の問題もこれと全く同様です。我々弁護士は過去の裁判例等を精査して裁判官が重視する判断ファクターを抽出し、それをそれぞれの企業の実態に応じて呈示することが可能です。企業としては、その中から採用可能なものをできるだけ数多く採用して体制を整備していけば、守りは堅くなってくるのです。

 人事・労務の体制整備の心構え

  • 細かい知識ではなく、概略をつかむことが重要。
  • トラブルが生じやすい点、特に致命的なトラブルの生じやすい部分から優先的に体制を整備することが重要。
  • 労基署等行政のみを念頭においたトラブル予防策では不十分。訴訟等提起されても耐えるような体制整備をすることが重要。
  • これで万全という方策は存在しない。有利なファクターをできるだけ数多く積み上げるという意識が重要。

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